Front misson Brockade

Mission-4 Offensive

 

1/15 0810時 ランカラン資材集積所

「・・・あ、あれ?」

シエラが飛び起きると、ヴァンツァーの中で眠っていた事に気づく。昨日の連戦で精神が磨り減って、そのまま熟睡してしまったようだ。

飛び起きて、ハッチを開いてヴァンツァーから降りるがそこはまだ先日のコンテナの内部だ。コンテナを開けると、雪が積もっている。

流れ込んでくる潮風を感じて、シエラはようやくランカランに到着したのだと実感する。ここはその貨物集積所だ。

「シエラ少尉、よく無事だったな。」

「あ、ディートリッヒさん!」

少将と呼ばないのは彼女のいつもどおりの癖である。ディートリッヒもそれは了承しているらしく気にしない様子でこたえる。

「カダール元大尉・・・いや、私の権限で大尉に復職させたが彼も無事だ。この資材集積所が当面の基地だ。ヴァンツァーを空きコンテナ内部に隠しハンガーとしての体裁は整えている。」

「えっと、じゃあ明日のプランとか私達の部隊とかどうなるの?」

「貴官はカダール大尉の部隊に入り、副隊長としてがんばってもらう。中隊長を任せているが戦場にも出ることになっている。志願兵1名と隊員1名が直属の兵員として参加する。」

シエラは忘れないようにきっちりとメモに書きとめながらディートリッヒの話を聞く。いつも忘れることが多いためメモを取れとカダールに注意され、その通りにしているようだ。

「明日のプランだが、我々の目標はランカランの空港制圧だ。軍民共同で使われていて基地も近くにあるが、この基地を制圧する。行動開始時刻は明日明朝4時、出撃時刻は5時だ。遅れるなよ?」

「了解、ちゃんとする。」

寝坊しないようにしないと、とシエラは心がけると敬礼してから立ち去っていく。開けた一角にヴァンツァーが待機しておりカダールが部下2人とベンチに座って話し込んでいる。

待機しているヴァンツァーを見てシエラは感心してしまう。片方はUSN製のヴァンツァーであるブリザイア、武装はキャッツレイSGとF-4ハンドロッドだ。

もう片方は姿勢の低いヴァンツァーで修理用バックパックを搭載。モストロ24MGを搭載しているが反対側の肩にグレネードランチャーも搭載しているようだ。見たところRPG-7のように先端に装填するタイプらしい。

「シエラ、遅かったな。一応自己紹介しておくが彼女がシエラだ。よろしくな?」

「よろしく・・・な。」

「ええ、宜しくお願いします。」

片方の灰色の髪の毛の男性、見た感じ20代前半の人物ともう片方の茶髪の女性が今回配属された部下だろう。

「シエラ、正規軍所属のハーネル・フォルマー曹長とリヴィエ・リトヴァク軍曹だ。宜しく頼むぞ?」

「うん、よろしく。」

1人ずつ握手すると、シエラもベンチに座り早速後ろにあるヴァンツァーについてカダールにたずねる。

「あの新型、何?ECからの供与品?」

「そうだな。リヴィエ軍曹に支給されたものでクラスタシアと言う新型だ。被弾しにくく機動力もある程度確保されてるとか。」

いいなぁ、と思いながらシエラはクラスタシアを見ている。ECが供与した新型ヴァンツァーでどうやら先行量産型のようだ。モーターカノン(※9)とリペアバックパックを搭載してなおあまるほどのエンジン出力を持っているらしい。

「リヴィエだっけ、凄いの乗ってるね。大丈夫?」

「大丈夫です、もう慣れました。」

んー、とシエラは首を振ってダメだなぁと言う。そしてリヴィエの額を軽く指でつつく。

「な、なにを!?」

「リヴィエ、もーちょっとこう軽い雰囲気でいいんじゃない?そりゃあちょっと階級違うけど、あんまり気にしないからさ。」

少しリヴィエは考え込むと、うなずいて見せていつもどおりの口調でしゃべろうと心がける。

「わかった、シエラ。でも、なかなか慣れなくて。」

「自然にして欲しいな。せめてこういう時間帯だけはゆっくりしたいでしょ?」

「確かに。」

リヴィエもそこは同感だとうなずいてみせる。戦闘時間以外はリラックスして休憩できるようにしないと身が持たない。

「しかし、クラスタシアねぇ・・・何だってこんな高級機をもらったわけ?」

「確か少将が「志願兵になるべくいい機体を振り分けろ。戦力差を補うにはなるべくいい機体に乗せるしかない」と。」

「なるほど、ね。」

クラスタシア級は2093年11月(※1)に設計が完了した新型機で先行生産型50機がEC軍やこのアゼルバイジャンに送られているという。おそらく実戦データを取りたいのだろう。

シエラはなんとなく納得してみせる。ベテランには当面使い慣れた機体でがんばってもらい、志願兵は機体の性能差で何とか経験を埋めようという魂胆だろうか。

「そういえば、このハーネルって誰?」

うつむいているハーネルを見てシエラがたずねると、カダールが彼のことを事細かに話し始める。

「チェチェン戦線に送られてここに来たということしかわからないな。」

「・・・一応、宜しく頼む。」

チェチェン戦線から来たと聞いて、シエラはかなりの激戦を体験してきたのだろうと考えてしまう。ハーネルはうつむいた様子で目を合わせる気配がない。シエラは人見知りなのかと考え話題をカダールに振る。

「あ、そうそう、ガストとツィカーデはどうするの?結構ボロボロだったけど。」

「修理はするが明日の作戦には別の機体を使う。後ろにあるものだ。」

言われたとおりシエラが後ろを向くと、車両脚部に60mm台の火砲を搭載したヴァンツァーが鎮座している。その隣はガストの発展型ストーム(※2)だ。ただ武器腕としてホーネットBZを搭載、反対側の腕はシールドとプラヴァーM2ミサイルを搭載している。

「明らかにストームは隊長の趣味だよね。」

「新型機が来るというのでちょっと交換してもらった。お前の機体は気に入ったか?イーゲルツヴァイ(※3)と言うんだが。」

説明を聞く前にシエラは車両脚部の部分に触れてすごい、とわずかにもらす。新型機体を見て感激しているようだ。

「車両脚部はちょっと慣れが必要だけど満足!ありがとう!」

「いや、お前が気に入りそうだと思ったからな。満足してもらってよかった。」

カダールは選択が正しかったと安心した様子で一息つく。リヴィエもよかったとうなずくが、ふと感じた不安をカダールに語る。

「これだけの新型ヴァンツァー・・・まるで第二次ハフマン紛争の再来みたいで、少し恐い気もしますが。」

「紛争を長引かせるような真似はさすがにしないだろう。怪しまれるくらいなら他の戦場を探す気がするんだけどな。」

CAUの内部抗争、これから始まるであろう地中海方面でのUSNとCAUの戦争、ECとザーフトラ、チェチェン戦線やUSNやOCU内部の国家やアフリカ。いくらでも探せば戦場はある。

それならわざわざ長引かせるよりあちこちの戦場に新型のヴァンツァーを貸し出したり供与して実戦テストなどをさせればいい。大型機動兵器も同じことだ。

「リヴィエ、恐いか?」

「いえ、すぐに済むという上官の言葉を信じます。」

カダールの気遣いリヴィエは大丈夫と自信を持って答える。するとシエラが振り向いていいのかな、と前置きしてから訪ねる。

「上官の言葉と秋の空って言ってさ、すぐ言うこと変わっちゃうよ?」

「そ、そういうものかな。」

「うん、直ぐ終わるといわれた戦争が長引くのは映画というか物語のお約束。」

リヴィエが首を傾げるが、シエラは笑ってごまかす。作戦開始時刻の明日まで何もすることがない。ならいっそシミュレーターでも稼動させようと思いイーゲルツヴァイへと乗り込む。

今のところやることはまったくない。シミュレーターで時間を潰すのも悪いことではないだろう。

 

「・・・連絡か?」

プレハブ作りの港湾事務所、現在では臨時司令部であり事務所設備がそのまま残っている中ディートリッヒは端末を起動させるとキーボードを打ちチャットで会議を行う。

盗聴にも強く盗撮カメラにさえ警戒すれば相手にしてみればなにをしているかすらもわからない。案外秘密の会話を行うには適しているのだ。

(Aysel:計画進行状況は?)

Aysel、彼女が今回の首謀者でありアゼルバイジャンの独立を呼びかけている人物でもある。直接会ったことこそないが見識が深く、またこの国が大好きだとも言っている。ディートリッヒは自分の使っているペンネームで答える。

(Eagle:順調。北部方面軍、西部方面軍の進捗状況を聞きたい。)

(Aysel:掌握完了。首都にはトレーラーを使い計画を実行する。)

首都方面軍のガードは固くまったくクーデターに参加する気配はない。それでもその内情を知る数名の兵員を味方につけられたことだけは幸いといえた。

精鋭をトレーラーに乗せて首都防衛軍の基地を強襲する。そして親ザーフトラ派の首相を誘拐し、クーデターに同調しない軍隊に降伏を呼びかける。

その後はおそらくアルメニア、ザーフトラからの反抗がある。そのためにEC軍とクーデター軍で対処する。黒い一月事件(※4)のような悲劇に終わらせるつもりは最初からなく、徹底的に作戦を練って行動する予定だ。

(Eagle:貴方は今どちらに?)

(Aysel:現在北部方面軍のトレーラーに。大型機動兵器ジウークに乗っている。首都制圧の際に私が陣頭指揮を取り、制圧後迅速に国家元首として宣言を行う。)

(Eagle:了解。私も準備を整える。)

これでいい、と思いディートリッヒが会議を終了させようとすると北部方面軍の司令官が会話に入ってくる。既にAyselは退室した後だ。

(Breakheart:北部方面軍の配置を終了した。)

(Eagle:こちらも終了した。何故連絡を?)

(Breakheart:ホークス隊が増派を行っている。警戒されたし。)

(Eagle:政府軍ごと叩き潰す。以上か?)

(Breakheart:以上。退室する。お疲れ様。)

傭兵部隊が加わってもECと反乱軍の数にさほど影響は無い。ディートリッヒはそう考えて端末の電源を切る。そして明日攻撃するランカラン基地の情報を集め計画に少しずつ手直しを加えていく。

 

1/16 0330時 ランカラン資材集積所

「全員揃ったか?」

開けた場所にベンチが置かれ、パイロットが座るとディートリッヒ少将が後ろにホワイトボードを出して作戦を説明する。

雪が降りしかも屋根どころか壁すらないブリーフィングルームだが、パイロットたちは作戦を黙って聞く。

「ランカラン基地を包囲、四方から同時攻撃をかける。最優先目標はヴァンツァー格納庫でありこれを制圧、もしくは破壊する。次に弾薬庫だ。防衛兵器も出来る限り掃討せよ。この攻撃がクーデターへの第一歩となる。失敗は許されないぞ。以上!」

了解、と全員が敬礼を返しコンテナに隠されたヴァンツァーへと乗り込んでいく。港湾施設の人員も反乱軍に参加しているためランカラン空港やCAUイラン経由で送られてきたヴァンツァーをそのまま保管しておいても政府に発覚することはなかった。

深夜を選んだのは車両が滅多に通らないためヴァンツァーの大軍で基地を襲撃しても襲撃に気づかれないと判断したためだ。センサーも先導する機体が1基ずつ破壊していけば発見されずに済む。

「リヴィエ、大丈夫?」

『だ、大丈夫です。』

シミュレーターでともに戦った限りでは戦闘能力に問題はないが、やはり実戦初参加となれば緊張するようだ。シエラはほほ笑むと、緊張をほぐそうとする。

「まぁ深呼吸して、シミュレーターと同じだと思えば大丈夫。いざとなったら隊長か私の近くでモストロでもぶっ放してればいいから。」

『了解。』

無線での私語を禁止しているのはUSN程度でほとんどの国では会話が行われている。雰囲気を和ませたり、時には勇気付けたりと決してバカに出来る要素ではない。シエラは余裕なのか、イーゲルツヴァイの右腕を掲げたまま進撃する。

だいぶリヴィエも落ち着いたようだ。片方のハーネルは無言で進軍を続けているが、シエラは不気味に思ったのか無線を入れてみる。

「ねぇ、ハーネル。何やってるの?」

「・・・落ち着けこれはチェチェンじゃない、逆の立場だ。俺は決して政府軍じゃない、一般人や少年兵を殺す必要も無い。だから・・・」

自分に言い聞かせてる様子を聞いて、シエラは無線をきる。やっぱり不気味な人だという印象が強くなった程度で得るものが無い。

市街地を抜け、フェンスで囲まれた基地を反乱軍が包囲する。一部部隊は空港の攻略へと向かった様子だ。

『攻撃を開始せよ。ロケットを撃て。グレネードもだ。』

『了解!』

ツェーダーやフロストC(※5)が一斉にロケットランチャーを発射。基地施設や外部に止めている兵器に直撃し爆発を引き起こす。政府軍は敵襲を確認すると直ちに警報を鳴らすが、すぐに反乱軍のヴァンツァーが突撃。シエラのイーゲルツヴァイもその中に混ざっている。

数はせいぜい20機程度だが分隊ごとに分かれて基地の重要区画へと向かっていく。襲撃に感づいたのか、敵基地からヘリが離陸しようとする。

『打ち落とすぞ!』

カダールがプラヴァーM2を発射、4発(※6)のミサイルがAH-45Aハーンに直撃、爆発し残骸が墜落したそばを何機ものヴァンツァーが過ぎ去っていく。

シエラも照準を合わせ60mmの武器腕ショットガンを発射。2発程度発射するとメインローターが破壊されAAH44C2(※8)が墜落。爆発する。

『よし、格納庫を制圧しろ!大型機動兵器には気をつけろ!』

「了解!」

離陸してくるヘリを打ち落とすと、部隊は一斉にヴァンツァー格納庫へと向かう。ひときわ巨大な格納庫から大型機動兵器が出てくる。

『ギガス級だ、4番格納庫に支援頼む!』

「了解!リヴィエ、ついてきて!」

『は、はい!』

イーゲルツヴァイの後ろにクラスタシアが続き、4番格納庫へ向かうとギガス級大型機動兵器が待ち構えている。機体下部に14cm砲と38mm機銃、上部に多連装ミサイルランチャーを備えた拠点攻略型の機体だ。

シーキングからの改良発展型でこのサイズの武装を備えている割にはコンパクトにまとまっている。歩行速度や機動力もシーキングと同等のレベルを維持しているという。実際に味方部隊も苦戦しているらしく、友軍のガストが14cm砲の直撃を喰らい一撃で吹き飛ばされる。

『だ、大丈夫なのか・・・?相手はかなり・・・』

「大丈夫、何とかする!」

大きくて火力もあるがミサイルランチャーの仰角が高すぎて至近距離のヴァンツァーには発射できない。残りは14cm砲と38mm機銃でこの火器さえ当たらなければ何とか勝てる。

シエラはギガスをイーゲルツヴァイの右側面に捉えつつショットガンを発射。リヴィエも慣れない様子でモストロ24を連射する。

「脚部を狙って!まずは相手の機動力を殺す!」

『了解!』

他のメンバーにも聞こえたらしく、ギガスの脚部めがけ反乱軍のヴァンツァーが一斉射撃を開始。ギガスは頑強に14cm砲で抵抗し、砲弾がイーゲルツヴァイの目の前に迫る。

「っと!」

『大丈夫ですか!?』

砲弾が操縦席の前をかすめ、背後の建物に直撃。建物に大きな穴が開いてしまう。あんなものを喰らったらひとたまりも無い。

シエラは危なかったと冷や汗をかいたが、機体を移動させながらショットガンを発射し脚部へと命中させていく。

「大丈夫、それよりあいつを!」

38mm機銃をまともに喰らった友軍ガストが脚部を損傷し動けなくなっている。イーゲルツヴァイのショットガンでガストを示して見せると直ぐにリヴィエはクラスタシアを向かわせ、修理用のバックパックで修復を行う。

その間にバズーカ砲弾が直撃、さらにシエラがショットガンを叩き込むとギガスの脚部が外れ大きく傾いてしまう。射撃不能と見たシエラはすかさず機体を接近させると、ショットガンをゼロ距離でギガスの操縦席に突きつける。

「早く脱出しなよ。死ぬよ?」

大慌てでハッチを開けてパイロットが出て行くのを確認してからシエラがトリガーを引き、ショットガンを発射。散弾が直撃し操縦席から火花が散る。兵装システムの大半が無事なら、操縦席周りを修理するだけで大型機動兵器を使うことが出来る。

反乱軍にとって大型機動兵器は貴重だ。ギガスも修理すればまた使えるだろうとシエラは考えたが、戦闘が先だと思い無線を入れる。

「他の基地施設も制圧するよ!ヴァンツァーは!?」

『第1格納庫から出てきている。少々数が多い、援護を!』

「了解!」

友軍が援護を求めている。直ちにシエラは第1格納庫へと向かう。少し遅れてクラスタシアとガストがついてくる。政府軍ヴァンツァーが半地下の塹壕に立てこもり、銃撃を反乱軍側に浴びせている。

回り込もうにも四方にガンポートや出入り口があり、迂回も出来ない。するとハーネルがナックルの変わりにハンドグレネード(※7)を持ったブリザイアで突撃する。

『ハーネル、危険だぞ!』

「・・・誰かがやらなければ、犠牲が増える。」

ハーネルの乗ったブリザイアは政府軍のヴァンツァーが発砲する38mm機銃やジュアリー1の弾幕を切り抜け、入り口にハンドグレネードを投げ込む。数秒後に爆発し、政府軍のゼニスや65式の残骸が吹っ飛んでくる。

数機が重度の損傷を負った状態で出てくるが、バズーカやミサイルで狙い撃ちにされ破壊される。少し遅れて友軍歩兵部隊がトラックで到着、基地内部へと突入する。

『作戦は終了した。ご苦労だった。』

「楽勝だよ、これくらい。」

友軍のヴァンツァーで破壊されたのは2機程度、いずれもベイルアウトを確認しているため死傷者は少ない。

当面はこの基地から政府軍、いまや立場が逆転し反政府軍を追撃することになるだろう。シエラがそんなことを思っていると、緊急無線が入る。

『少将、緊急入電です!北部方面軍がザーフトラ軍により壊滅、首都に進撃した部隊がホークス隊に襲撃され強襲は失敗したとのことです!』

『何!?』

はめられた。どこからか情報が漏れたのだとシエラは直感した。自分達の戦闘では無くどこか別のルートではめた人物がいる。

『どういうことだ、状況を説明しろ!』

『はっ。ザーフトラ軍の空挺部隊がハチマスに増援として送り込まれた模様です。同時にホークス隊も相当なヴァンツァーと戦車、戦闘ヘリの部隊で首都を固め強襲部隊も壊滅、首相とゲオルギー中将は行方不明です!』

首相とは反乱軍の司令官だが、まだ名前などは公表されていない。ディートリッヒくらいしか名前も知らず、本来なら議事堂にて今日、発表される予定だった。

反乱軍全体に緊張が走るものの、シエラは気にしていない様子だ。

「ECと私たちで巻き返せば、何とかなるから大丈夫だよ。きっと。」

『・・・シエラ、お前の能天気さがうらやましい気もする。』

カダールは最悪の状況に追い込まれたと思った。ECの支援があっても政府軍とザーフトラ軍を南部方面軍と西部方面軍だけで迎え撃つ必要が出てきたのだ。

大体劣勢の状況でECが支援を出してくれるかどうかすら疑問符がつく。互角なら増援を出す価値もあるが劣勢になって共倒れなどするつもりは無いだろう。

これからは想像以上に大変な事態になる。そのことを示すかのように風が強まり吹雪になっていく。

 

続く

 

 

(※1)
5thではサバイバルシミュレーターのミサイルサイロ破壊後、つまり2094年度にクラスタシアが徘徊する20Fが出現する。シミュレーターを設定に絡めるのは無茶があるかもしれないがシミュレーターに出るということは具体的なスペックも判明していると判断しその前の2093年に設計完了し、この時点で先行量産が始まっていると考えた。クラスタシアについては細かい設定がないので難しいこと考えなくてもいいのだが、バザルトはゲネム生産後にヴァンツァーパーツの生産を停止したという設定をどこかで見た記憶もある。何だったのだろう。

(※2)
外見や性能からして重装備可能な支援機と設定。ガストのマイナーチェンジバージョンで高価になりがちな支援機を安く提供するために大出力のエンジンを搭載、フレームなどはガストを若干補強した程度だと考えられる。そのため支援機にしては機動力があり、装甲は比較的薄い。ちなみに汎用性を重視するために武器腕ではない。

(※3)
車両脚部、ショットガン武器腕と2ndのイーゲル系列を採用している。アームや胴体部分は一部イーゲルゼクス系列の片鱗がある設定。口径60mm台のショットガンといってるのは明らかに20mmのショットガンでは小さすぎるため散弾1粒の大きさを20mmと解釈する。ちなみに参考のために言うと歩兵が携行するショットガンの口径は標準的な12ゲージで18.5mm、一回り大き目の10ゲージで19.5mmである。いくらなんでも歩兵用のショットガンを銃身延長だけでヴァンツァーの相手をするには無理があるだろう。
ちなみに60mmにしたのはちょうど20mmの3倍の大きさのため。対人用の散弾だと1粒が12ゲージのちょうど1/3程度の大きさになる。

(※4)
1990年のクーデター未遂事件。ソ連軍とアルメニア軍の襲撃によりクーデター軍側に200人の死者を出しアゼルバイジャンの民主化が一時滞った。現在でも反対派は監視体制が敷かれるなど、それほど自由化が進んでいるとは言いがたい。

(※5)
4th仕様のフロスト。重装備可能なミサイラー型であり射撃命中精度もそれなりにある。ただし機動力はフロストからかなり落ち込んでいる。通常型のアタッカーをフロスト、格闘戦用に機動力を挙げたタイプをブリザイア、重装甲をまとった支援機タイプをフロストHWと設定。ちなみにUSNもザーフトラを牽制する意味合いで反乱軍にヴァンツァーの売買を黙認している。

(※6)
4thの設定にあわせ箱型ランチャー、4発同時発射とした。4thのランチャーの方が格好よく見えたのが一番の理由でもある。

(※7)
4thのムービーで使っている対施設用の強力な爆薬。実際にも使ってみたいところではあるのだが、難しいだろうか?

(※8)
霧島重工が2090年に開発した戦闘ヘリ。とは言うものの兵員輸送用キャビンを設けるなど20世紀に製作されたMi-24シリーズにも近いコンセプトを持っている。そのために大柄な機体となり被弾投影面積も増大。結果対空砲による撃墜記録が相次いだ上にエンジンも出力が弱くすぐに生産中止となり改修された。改修後のAAH44Bは兵員キャビンを残しエンジンをブランTB230Wに変更。結果機動力はある程度改善されたがそれでも大柄さによる被弾率の高さで戦闘ヘリとしては不評だったが輸送ヘリとしてみるなら攻撃能力が高く輸送も出来ると言うことである程度販売された。AAH44CEはキャビンを完全に廃止し、残りのキャパシティを兵装運用能力に割いた重攻撃ヘリでありエンジンはさらに新型の93式発動機を搭載している。本来航空機から投下するはずのクラスター爆弾やバンカーバスターまで搭載するデモンストレーションを行い話題となった。結果として高価になったもののVTOL戦闘機より運用しやすく燃費もいい。超音速攻撃機並みの兵装搭載量というアドバンテージと分厚い装甲や脱出装置により生存性も高いなどメリットが多く2095年に正式なロールアウトを迎えた。2094年には試作タイプが出回っていたようだ。

(※9)
本作品ではグレネードランチャーを手持ち武器(RIM-4、イグチ7式)などの武器として呼称。肩装備のこれまでのグレネードランチャーをモーターカノン(臼砲、重迫撃砲)と呼称する。火炎放射器よりグレネードランチャーの方が明らかに直撃時のダメージが大きいだろうし、リアリティもある。

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