テクノロジー/団体など

 

2098年の視点で描いた技術などに関する解説です。

 

再生治療技術
クローン技術と移植をかね合わせた物であり電子制御された板から細胞を送りこみ、脳が体の一部を形成する命令と同じ電気信号を送り込んでパーツごとのクローンを作りこれを移植する技術。加速剤などを使用する事により1週間以内でいかなるパーツも作れるため、負傷者や患者の死亡率はかなり低くなっている。腕や足などは簡単に複製出来たが、臓器の完全な複製が可能になるのは2090年代に入ってから。

B型デバイス
脳をコンピューターのCPUと記録媒体、メモリーの機能を集約させる技術。再生治療技術を応用した培養脳や人工培養された胎児の脳を利用していたが培養脳は2070年代当時の技術では奇形が多く処理能力、思考能力に影響が出てしまい胎児の脳では「大きさ」という物理的な制約に阻まれて満足な技術を詰め込むことが出来なかった。そこで成人兵士の脳を利用する事により脳だけではなく、プログラムデータそのものまで得ようという非人道的な発想に繋がった。同技術はレイブンの開発と並行して行われていたが、これは姿勢制御システムが複雑なため人間の脳が持つ歩行機能に着目したものである。ただしプログラムデータを組み込んだ胎児の脳や培養脳はとにかくとして、もともと記憶が残っている兵士の脳は制御が難しく暴走した事例もあったと言う。一応2091年に完全に制御する方法が見つかったが、2092年に人間から脳を取り出してデバイス化する事は禁止された。派生技術は数多く残されている。

A型デバイス
前述のB型デバイスに脳内言語の複製技術を掛け合わせ、無人機の制御システムとして組み込んだもの。ナザール・バリジニコフが開発した。ニルバーナ機関でB型デバイス搭載機が勝手に動き出したり暴走した事例を逆手に取り、ある程度抗生剤などを押さえ込み兵士の持つ記憶をある程度残している。そしてあくまでもヴァンツァーそのものとしてマテリアルに認識させるのではなく「ヴァンツァーを操縦している」概念で自立制御を行わせているため比較的暴走が少ない。ただし抗生剤で思考力が低下しているためか判断力もオリジナルに比べて若干遅い。さらに記憶などを組みかえるとエラーを引き起こしまったく使い物にならないためオリジナルのマテリアルが覚えている以上の事は出来ないと言う難点もある。さらにオリジナルの声を聴けば一瞬だけ戸惑ったりすると言う事例も報告されている。しかし培養脳で出来るため量産が出来る上に無線誘導方式のようにソフトキルの手段がなく指揮官を排除しても指揮権を移して戦闘行動を続ける、おまけにエースの能力を多少劣化させても普通の兵士より強いためA型デバイスとヴァンツァーさえ量産できる環境があればいくらでも軍勢を編成することが可能となっている。

S型デバイス
モーガン・ベルナルドが開発した機体と直接パイロットをつなぐ技術。機体とパイロットを接続し直接機体としてパイロットの意のままに動かせる技術だが難点もある。ヴァンツァーを操縦する「感覚」を脳内に直接書き込む方式のために一部の記憶を消してしまい、最悪精神崩壊を起こしてしまうこともある。さらにセットアップを変更するとそのシステム分だけの負荷がかかるため「ヴァンツァーの戦術概論に反するのではないか?」と言われた。しかしそれ以上の戦力となったためUSN圏内で多く利用されている。OCUではサカタインダストリィ事件以降、脳関連のバイオニューラルデバイス技術を軍事技術に転用することに一種のアレルギー体質が出来てしまったために使われずECでは「兵員をしなくてもいい危険にさらすのか」という納税者の意見が根強く全面的に使用していない。ザーフトラ、CAUは費用対効果に疑問を抱いているため採用を見送っている。

モーガン・ベルナルドは紛争中にもう1つのデバイスを開発したがこのデバイスは見た目が普通のS型デバイスのためわかりにくい。しかし操縦者は「第三者視点から機体を見ているような感覚」でありより直感的に動かしやすくなっている。さらに外部からのデータリンクも可能。しかしこのデバイスを接続した人物は突如精神崩壊を起こしUSN軍に対しての破壊工作を行ったり突如行方不明になるケースも報告されている。これはモーガン・ベルナルドがいつでもハッキング出来るためUSN軍でこれらのデバイスを取り付けられた人物は早急に手術を受けデータリンクシステムを除去、ハッキングを阻止している。また破壊工作に関わった人物も、生きて精神状態が良好であればリンクを遮断して軍務に復帰させることもある。

UAV/軍事衛星
20世紀後半から軍事衛星が軍事作戦に使われるようになった。軍事衛星が使われた当初は非対称戦闘の時代であり相当な効果を挙げたものの21世紀中盤の第一次ハフマン紛争でOCUがUSNの偵察軍事衛星を次々に対衛星ミサイルで撃墜する戦術を取った。USN軍はGPS頼みの照準システムや誘導システムを使っていたため混乱が生じ、その隙にOCUに前線を押し込まれてしまった。このため第二次ハフマン紛争では高高度偵察用UAVに地磁気計測機能と画像認識の複合による緯度および経度測定装置を取り付け戦域を監視するシステムに移り変わった。衛星はどうしても打ち上げに莫大なコストと時間がかかるがUAVなら撃墜されても直ぐ換えが利く為である。一方軍事衛星は核抑止力の実現のために核発射衛星のみ残された。また戦術ロケット衛星やレーザー衛星も第二次ハフマン紛争に投入されたがほとんどが戦略目標用であり戦術目標には使用されていない。これは確実に民間目標を狙う事が可能なため核を発射すればすぐ使うと言う抑止力を持ちあわせているのと、戦術目的に使えば真っ先に信号を解析、位置が特定し対衛星ミサイルの標的になるため軍事衛星はほとんど非対称戦闘か使い捨てでの戦略兵器にのみ使われている。一方、UAVは安価で配備しやすいため戦域監視に使っており一部にはミサイル発射機、ミサイル誘導装置を組み込んだものも存在する。UAVは地上管制センターや空中管制機を用いて地上部隊にデータを送る。空中管制機にはUAVの母機としての役目も存在し、たとえ撃墜されてもUAVを迅速に供給することが出来る。

フェンリルシステム
2094年に開発完了した「環誘導侵攻制御装置」。人工衛星の形を取っており第6世代AIを搭載しているため司令官としての機能も備えているが、どの程度の司令官かは不明。無人兵器を完全に統制することが可能であり、兵站を担当する兵士さえいれば全ての行動が可能(WASも動かせる範疇にあるため将来的には兵站すら自動化する可能性もあり)。地上管制では障害物の存在により無線管制は難しいがフェンリルはその心配はまったくない上に、AIを使っているため処理能力が高く、指揮官が指揮できる数よりはるかに多くの兵器を誘導することが可能となっている。周辺の人工衛星をハッキングし管制下に置くシステムも同時に搭載されているがこの兵装の装備した意図は不明である。無線妨害に関するソフトキル対策であればこんな大掛かりな装置をつける必要もないし強力なECCMを搭載すればいい話でありハードキル対策にしても「衛星からの通信が途絶えた」という明確なシグナルを与えてしまうことになり、存在を露見されてしまう。そのため本来は別物のプランを無理に合成したと言う説が有力である。運用ドクトリンも浸透戦術特化型であり無人機の数で防衛ラインを突破、一瞬で無力化するというドクトリンを採用するしかなくしかもフェンリルが使用されたという一切の情報も与えてはならないシビアなシステムでもある。少なくともフェンリル事態の存在をヴェールに包まなければならない。さらに無線誘導システムのためレシーバーを搭載した専用の兵器を使わなければ誘導できない。ちなみにフェンリル用のAIはOCU軍の対テロ用監視システムであるアーリーバードでテストされたとも言われている。2102年時のアーリーバードは5代目であり2機は2度のハフマン紛争により、1機はカンボジア・ラオス紛争時に撃墜。残り1機は衛星同士の衝突事故で失われた。

戦略級兵器(TW=Tactical Weapon)
ヴァンツァーが運用されるような世界になると、既存兵器をヴァンツァーが運用するサイズに拡張したりヴァンツァー技術を応用した兵器などが数多く出現した。核抑止力は一応の存在こそするが放たれた途端に何倍もの報復を受ける、ECMで妨害されるなど核抑止力があやふやになってきたため上共同体同士の戦闘が現実の物になった2060年代、巨大な兵器の開発が次々に始まった。2070年代の第一次ハフマン紛争後にヴァンツァーや戦車などの進撃を阻む巨大要塞の建造ラッシュが続くと戦略級兵器配備の流れは止まらず、特にOCU軍はUSN軍に対してのアドバンテージをとりたいがために戦略級兵器の配備に熱心でありオーストラリアや日本でそのような兵器が建造された。日本ではかつてプランだけにあった56cm砲搭載巨大戦艦を建造、一番艦に「扶桑」、二番艦に「大和」と名づけて大漢中相手に制海権および地上攻撃に対しての優位を保った。オーストラリアではもっと現実的に280m級のミサイル航空巡洋艦や巨大列車砲、さらには巨大な双胴強襲揚陸艦まで建造しこれらをOCU軍の戦略的に重要な拠点へと配備し親OCU政権にも供与している。ザーフトラ軍では陸上要塞やホバー型陸上プラットフォームと言った兵器が存在しEC軍でも「ラーテ計画」というシュネッケ主導の陸上要塞プランで2096年までに4機完成している。

MIDAS(Mass Interparticle Dissociation Antiproton Synthesizer
ラーブヌイ共和国のロラン・クラムスコイ博士が提唱した理論および技術。
金にイオンビームを照射し、金の陽イオン(金原子核)をプラズマに封じ込めて照射する事により照射された物質を質量の99.8%までをエネルギーに変換することが出来る新世代の技術理論。金原子核線を使う方が生成エネルギーを最大に出来るためと言われているが詳細は不明(鉄原子核を使えばエネルギーロスはあるものの調達しやすく現実的と言われている、おそらく残った物質に何かが?)。USN軍はひそかにEC軍とラーブヌイから科学者を救出する変わりにMIDASの技術開発の際に平和的なエネルギー理論に限ってECに供与する協定を結んだ。計画は半分成功し、娘のエミールとともに技術を引き渡しUSN軍の手で兵器化が進められた。MIDASの兵器化をUSN軍が強く望んだ理由として戦略級兵器の存在がある。USN軍は当初「兵器を大きくしすぎるのはバカのやることだ」という姿勢を貫き戦略級兵器に対抗措置をとらず通常兵器の数をそろえれば良いと言う発想だった。しかし第二次ハフマン紛争で戦略級兵器「扶桑」級戦艦に率いられたOCU日本海軍にUSN海軍は歴史的な大敗を喫してしまったため戦略級兵器への対抗手段を模索。しかし巨大な兵器は議会が認証するはずも無く、結論として「一撃で無力化できる爆弾が必要」となった。しかし核兵器の利用は現実的に不可能であり、ちょうどよくMIDASの理論が提唱され利用する事に決定した、という経緯が存在する。MIDASは兵器として使った場合最大加害半径が10kmにもなり、しかも加害半径下の兵器、兵員全てに致命的なダメージを与えられるだけの威力があり戦略級兵器を葬るにはこれほど都合のいい兵器もない。ただし加害半径が広すぎると民間人への犠牲は避けられなくなり、MIDASを使用できるシチュエーションが限られるため兵器化には威力を落とすことが必要条件でもあった。一方で上手く制御し、不要な物質もエネルギーに変換できるため「新世代のエネルギーシステム」としても注目されている。

リアルナンバー
ラーブヌイ共和国が国家プロジェクトで進めている優秀な人種の製造計画、もしくはその計画で製造された人間を呼称する言葉。優秀な兵員や政治家の遺伝子を組み込んで「製造」した人を使っている。徹底した機密保持が加えられており朗詠の形跡があれば容赦なく抹殺することもある。ラーブヌイへの忠誠を誓わされ、実働部隊や政治家に多数もぐりこまされている、と言われている。徹底的な英才教育と刷り込みが行われているが一部には現地の勢力に忠誠を誓う者もいる。その場合粛清することも多く、排除不可能と認定されない限り機密保持を優先する。ただし能力がありすぎるために常人の手に余る行動をとったり、特殊部隊などの養成プログラムを受けて心情が変化する事も多くラーブヌイでは他の計画を進められているらしい。

 


ザーフトラ共和国
2015年に設立されたロシア共和国を中心とする連合体。東欧圏は経済的な理由からすんなりと加盟に応じたが中央アジア諸国はザーフトラ共和国に参加せず、独立するつもりでいた。しかしザーフトラ軍はロシア譲りの強力な軍事力を背景に併合し以降は多数の反乱が中央アジア付近で発生する。必然的に市街地戦が多くなることからザーフトラ軍では自然とWAWの戦闘が多くなりヴァンツァーの開発でも常に他国をリードしつつ、武装勢力に同等のヴァンツァーが流れたり供与される事を避けるため極秘扱いにしている。恒平和維持機構(PMO)設立にも関わっており世界的な影響力は非常に強い。また資源確保のためにザーフトラの切り崩しを狙うECとは敵対関係にあり、直接的な軍事侵攻を抑えるためベラルーシとウクライナを独立させ、万一EC軍が突破してもいいように長城要塞を建設している。2094年時点ではECへの資源輸出が減り経済的優位が揺らいでいるともうわさされているが情報統制が厳しく、詳細は不明。ただしソ連時代のように店に何百mも行列を作るような不況は起こっていない。CAUと国交を結んでおり、中央アジア圏の武装勢力をともに壊滅させようとしている。

2094年時の加盟国はロシア、カザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、キルギス、アルメニア、トルクメニスタン、モルドバ。トルクメニスタンは客員参加であり権限も影響も薄くほとんど独立状態。

「戦争とは火力の大小で勝敗が決まる」と言うドクトリンを貫いており、重砲やロケットランチャーを数多く配備している一方、ヴァンツァーは「砲撃部隊の補佐」という位置づけであり砲撃部隊の護衛や兵站輸送、砲撃後の敵戦力掃討などに使われているが、その割りにかなり強い。市街地戦では主力という位置づけであり、特殊部隊も発展している。
その一方で兵士にもウォッカは欠かせないものでありザーフトラ軍の兵員はほとんどが出撃前に飲酒していると言ううわさもある。

EC
現在存在するEUをさらに発展させた共同国家。統一した共同体としては世界初であり他の国家もECをモデルケースとして共同体を作っている。21世紀前半には経済をリードしていたものの2090年代には勢いは衰えたが安定した状況を保っている。しかし自国で資源を確保できず、アフリカからの資源輸入に頼っていたが2035年に関係が悪化すると方針を転換、中央アジアに進出する事を決定した。2041年にトルコが加盟した後、ザーフトラの中央アジア圏に目をつけてグルジアとアゼルバイジャンに支援、戦力を少しずつ蓄積し反乱し何十年か後に独立すると言う計画を立案し実行。その結果グルジアは2085年に、アゼルバイジャンは2094年に独立しそれぞれ新たにECへと加盟した。また資源問題は中央アジアとポーランド新資源地帯の開発により解決し、OCUとUSNの調停役としての行動も諸外国から期待されている。共同体の中では一番まともだと言われているがザーフトラと各地で代理戦争とも言える戦争を行っており、バルカン半島の旧ユーゴスラビア周辺やバルト三国に火種を抱えている。またアイルランドのECイギリス領も不穏な動きを見せている。一方でUSNとは良好な関係を築いておりCAUとも人材交流が盛ん。

2094年時の加盟国はEU加盟国にスイスとトルコ、グルジア、アゼルバイジャンが加わっている。また旧ユーゴの諸国はザーフトラかECかでもめているためまだ正式参加ではない。

最新鋭のヴァンツァーで武装した軍がほとんどであり、実戦経験を元に精強な軍を整えている。ECの国ごとに違った戦略や戦術を持っているがEC統合軍の指揮下で行動する。ただし仲の悪い国家も多くまとめるのは一苦労だとも言われている。ヴァンツァーによる空挺部隊が最も発展した国家でありブラウネーベルやSAS、フォルゴーレ旅団などが特に有名。
しかしヴァンツァーは各国の癖が非常に強い。そして各国軍ごとに個性も違うため同じ戦略思想での運用が難しい欠点がある。空軍も他の国家に比べかなり強力。

CAU
中央アジアの諸国が連合体を結成したもの。宗教や宗派の違いにより調整にかなりの時間を要したがイスラエルが「大イスラエル構想」をうちたて領内の国家を侵略し始めると一瞬でまとまり、指揮系統や軍備再編などに力を入れて戦争準備を進めている。しかし内紛もありイランとイラクは同じ共同体に居ながらも国境は緊張状態が続いている。石油資源を元手に工業化が進み、GDPも21世紀前半に比べると大幅に上昇している。発展途上の共同体だがECやOCU、ザーフトラから軍事顧問を招いたりして近代的な軍に移り変わっている。その一方で政治体系はまだ定まっておらず、CAUサウジアラビアの首相が暫定国家元首として交渉や閣僚の任命などを行っている。いずれはCAU統一首相を民主的な方法で選ぶ予定。

加盟国はサウジアラビア、シリア、レバノン、ヨルダン、イラン、イラク、パキスタン、アフガニスタン、パレスチナ。

ECから購入した中古のヴァンツァーが主力部隊だが、差し迫った脅威があるため戦意は非常に高く旧型武装とは思えないほどの活躍を見せる事もある。指揮官も大幅に刷新され、ザーフトラ軍のドクトリンを参考に砂漠地帯に見合った方式に一新されている。
またCAU製ヴァンツァーも数多く混ざっているが性能はそこそこ高く、安価なため他国にも輸出されている。予算不足のため、時々CAU軍は非正規の軍勢である傭兵や民兵部隊に頼ることもある。

中南米連合
2096年に独立した南米国家の連合体。サンディニスタの本拠地であるニカラグアを中心に中米の反米勢力や南米諸国が連合体を結成。これにカリブ海の諸国も参加している。経済活動を縮小され、「真綿で首を絞められて」USNに加盟させられた国家は長い間恨みを抱き民兵部隊や武装勢力の形で各地に潜伏、USN軍に対して散発的な抵抗を続け市街地を独立国家並みにしたケースもあったが武装勢力同士の連携はとれずにいた。ザーフトラ軍は抜本的な経済の回復対策として中南米の市場に着目、本国から派遣将校を送り込み武装勢力同士の連携を取らせるとまとまった戦力としてUSN軍各地の基地を襲撃し独立運動を引き起こさせた。当初はベネズエラ主導で進める予定だったのだが中心人物だったディアズは失脚、後を引き継いだ公正ベネズエラは中立宣言を採択したため(もっともディアズが耐え切れなかった場合の措置として想定内だったが)ニカラグアを主導としてメキシコ以南の中米諸国とアルゼンチン、コロンビアなどで一斉に蜂起し政府を占領、残る中南米諸国でも民衆の暴動などが起こり駐留しているUSN軍と交戦している。

成立時、政権を完全に掌握していた国家はニカラグア、コスタリカ、コロンビア、ペルー、アルゼンチン、パラグアイ、キューバにカリブ海諸国国家が所属。

USN軍が採用していた中古のヴァンツァーをそのまま利用しているが現地武装勢力の中にはEC軍の最新型なども混ざっている。戦意は高いが民兵がほとんどのため訓練がほとんど無く、統制と言う面で難点が残る。

OCU
21世紀前半に存在した「バンコク経済圏」構想に日本とオーストラリアなどの国が参入した共同体。オーストラリアが主導権を持つが日本も相応の発言力を持っている。2020年に成立したが同時期に成立したUSNと非常に関係が悪く多少の武力衝突ですぐ戦争になりかねないとも言われている。工業基盤に関してはそれほどでもなく日本などの旧工業地域や東南アジアなどに設置された新工業地域などにより支えられているが経済基盤の弱い新工業地域は没落、東南アジアの工業地域はソンクラー重工やイグチなどの大企業が参加する事で維持出来たが地理的に辺境にあるアロルデシュは見捨てられてしまう。国内の情勢は不安定でアゼルバイジャンで革命が起こると大国の意思から離れようと言う独立運動が激化、ラオスとカンボジアがUSNの支援を受けて独立し東ティモールなどでも武力衝突が発生し安定しているとは言いがたい状況にある。中南米連合とCAUに支援しているが、もちろんUSN軍と対立関係にあるためである。

加盟国はオーストラリア、日本、ニュージーランド、タイ王国、大韓民国(朝鮮半島統一済み)、フィリピン共和国、アロルデシュ人民共和国、シンガポール、インドネシア、ベトナム。マレーシア。パプアニューギニア、カンボジア王国、ラオス人民民主共和国、ミャンマー連邦、キリバス共和国、サモア、ソロモン諸島、ツバル、トンガ共和国、ナウル共和国、バヌアツ共和国、パラオ共和国、フィジー共和国、ニウエ、マーシャル諸島共和国、ミクロネシア連邦、ハフマン島(2100年代に東ハフマン共和国として独立)

軍事力も差が大きく日本やオーストラリアには自国製の最新型の兵器が供給されている。他の国は経済基盤によって駐留軍の規模もことなる。戦略的に重要な地域や太平洋諸国に数多くの軍が配備されている。島嶼防衛が重要視されているため海軍は世界一の規模を持ち、もともと優秀な日本海防軍が戦略級艦艇などの配備を進めている。ヴァンツァーも島嶼防衛に輸送しやすいため数多く使用されている。

USN
アメリカとカナダが連携し、その後中南米諸国にじわじわと圧力をかけて成立させた共同体。新大陸全てを(ただしカリブ海諸国は拒否。)支配下に置いた巨大な国家である。20世紀後半から21世紀前半まで経済をリードしていたうえ軍事力も相応な物があり3個両面作戦を行っても国家の運営が可能とされている。その圧倒的な軍事力と生産力、そして経済の基盤により世界随一の勢力を持つ。OCUと対立する国家であり、ハフマン紛争やその後に代理戦争やら特殊工作などで何度も敵対している。中国やECと関係が深いが逆に他の共同体とは折り合いが非常に悪いため、22世紀における落日の要因を作ってしまう。中南米連合が独立を図り、CAUがイスラエルへと侵攻。この状況下で共和党所属のフレッチャー大統領がカンボジア・ラオス同盟への支援を行ったため国力は相当に疲弊してしまう。そのため、22世紀には宿敵だったOCUとの歩み寄りを進め(日本を特に中心として)国力回復を最優先にする政策を採っている。

加盟国はカナダ、アメリカ合衆国とメキシコ、そして中南米諸国。しかし中南米諸国は独立を図っているため政情は不安定である。

軍事力は制空権偏重主義に走り、ヴァンツァーなどにより防空網の構築がたやすくなっても空軍部隊を主力とし制空権を取る事に必死である。その分航空支援は強力であり世界でもトップクラス。また輸送機を使った強襲作戦も多い。物量作戦も得意だが20世紀から21世紀の軍事ドクトリンをそのまま引き継いでいるため戦略級兵器の配備に消極的であり、大型機動兵器もそれほど配備されていない。

 


 

アゼルバイジャン解放同盟
EC軍が設立したアゼルバイジャンの解放戦線だがゲリラ的な活動を一切禁じ、ある運輸会社を通じて武器などを蓄積している組織。散発的な破壊活動をするくらいなら戦力を溜め込んでしかるべき時に攻撃を加えるべきだというEC軍の戦術に納得し、数名の現地にいる将校や軍人を集め同盟軍にもぐりこませ、将官クラスまで出世した後に政府関係者の協力を得てアゼルバイジャンに革命を起こす手はずを整えていた。戦力規模は小国2個分に匹敵するとも言われ、将官もアゼルバイジャンの内情に詳しく指揮能力も非常に高い上に統率力もある。単なる民兵部隊とは一線を隔てる存在でありEC公認の支援を受けている。雑多なヴァンツァーが数多く配備されている。

第41独立機甲中隊
ザーフトラ時代に設立されたヴァンツァーの中隊。2085年あたりにはカダールが指揮を執っており、彼の仲間も多数部隊に居た。アゼルバイジャン出身の兵員が多く、PMOの時にはカダールとシエラが派遣された。カダールが居なくなった後はシエラが隊員をまとめていた。彼女はアゼルバイジャン解放同盟のうわさを聞くと真っ先に参加、他のメンバーも参加した。カダールが復帰した後、カダールが自分たちの部隊への呼称として使っていた。

シュトゥルムピングィン
アゼルバイジャン革命中、カダールやシエラの発案で作り上げられた特殊部隊。アゼルバイジャンがEC加盟の共和国として独立するとアゼルバイジャン陸軍第1独立空挺旅団の総称として使われた。ペンギンカラーとも呼ばれる両腕と頭部、脚部側面と後ろを黒く塗装しバイザーの光を黄色に、そのほかの部分を白に塗装したカラーリングが特徴(ただし作戦中は別の塗装を施すこともある。)。ちなみにハーネルが名付けたのだが彼いわく「新しい部隊を作るのだからこれまでに無い、それでも俊敏かつ的確に敵をしとめられる存在」と言うことでペンギンを選んだようだ。ちなみにペンギンは可愛いイメージもあるが、ひとたび水中に入ればすさまじいスピードで獲物を獲る。

ホークス隊
PMCと呼ばれる民間軍事会社ではかなり大手の企業。元小アラル海のあった辺りに基地を設営しCAU軍の内紛を利用してかなりの利益を上げている。その腕前からECやOCUがヴァンツァーのテストを依頼するほどであり試作型や最新型のヴァンツァーも中隊規模で保有している事もある。USN海兵隊並みの展開力を持ち合わせるとも言われており依頼があれば2日以内にどこにでも展開可能、主力軍から兵站輸送、教育任務とありとあらゆる軍事活動を引き受ける。兵員の質も高く、ECの正規軍にも劣らないと言われている。

スペツナズ旅団
ザーフトラ軍が保有する世界最高の特殊部隊。対テロリスト戦には不慣れな一面もあるが強襲制圧任務や要人の暗殺任務、白兵戦では無類の強さを誇る。また極地での行動も得意であり場所を選ばずに進軍可能。現在はヴァンツァーでいくつかの部隊が再編されさらに強化され、優先的に強力な武装を配備されている。いくつかの旅団が編成されており、ヴァンツァーは黒地に白いライン、指揮官機は紫のラインで塗装されている。砲撃機や対空兵装を持つヴァンツァーが多いが、これは敵制空権下での活動も視野に入ってるためである。ただし特殊部隊を総称してスペツナズと言っておりその指揮をする旅団をスペツナズ旅団と言っているので正式名称では無い。EC議会場を襲撃したのは第16独立特殊任務旅団である。

政府残党軍
アゼルバイジャン革命成功後に各地に散らばったり政府軍の基地を使って抵抗している残党軍。アゼルバイジャン政府はザーフトラに帰るなら討伐はしないと布告したにも関わらず各地で市街地を襲撃するなどして破壊活動を続けている。アゼルバイジャン軍は抵抗を続けるなら徹底的に攻撃すると通告、シュトゥルムピングィンなどを組織し政府軍残党に懸賞金をかけて対応している。ザーフトラ軍を経由してOCU製兵器で武装しているが、指揮官がほとんどいないため抵抗は散発的なものであっさりと鎮圧出来ることも少なく無い。

SAS
イギリス陸軍の精鋭と言う精鋭を集めたエリート集団。第二次世界大戦に設立された世界初の特殊部隊であり得意の空挺降下以外にも山岳戦や海上揚陸なども主な任務としテロ掃討作戦や治安維持、女王陛下の護衛など多岐にわたる任務をこなす。「危険を冒したものが勝利する」という理念を貫いており、常に大胆で危険性の高い作戦をこなしている。第21SAS連隊第1空挺部隊所属のデルフォード大佐は作戦立案能力、実行力およびヴァンツァーの操縦に優れており柔軟な思考と指揮でデュランダルの活動をサポートした。

フランス陸軍第2外人落下傘連隊
フランス最強の軍と名高い特殊部隊。9個中隊で編成されている。かつては歩兵部隊が主力だったが空挺投下可能なヴァンツァーが増えるとヴァンツァーで武装している小隊も増えている。それぞれの中隊が独立した任務を帯びており、必要に応じて小隊を混成し作戦に投入される。訓練は厳しく多国籍の兵員が所属している上に給料もそれほどよくないようだが、実戦経験に裏打ちされた技量は本物でありEC統合軍の中でももっとも出撃回数が多い。「フランス国民の犠牲を変わりに受ける部隊」ゆえに、仕方ないとも言えるのだが。第1中隊所属のフィリップ中佐は前線指揮官として優秀で兵員との連携を大事にしている。ただしイギリス嫌いでもあり、デルフォード大佐とはライバルでもある。

ブラウネーベル
名高い対テロ部隊であるGSG9は政治的な背景が絡む事件やテロ専門だがECドイツ連邦警察局の管轄であり機甲兵器による重武装化が限定的な物となっていた。そのため軍が対機甲部隊用のテロ対策チーム、それもEC全域への展開を可能にする対テロ部隊が必要となり、2080年代に創設されたのがブラウネーベルである。2096年までに10回ほどテロリストの拠点を殲滅しているがあくまでも拠点を殲滅しただけの回数が10回であり、実際の出撃回数は何十回という数になる。2096年までロルフ・ヴァグナーが指揮を執っていたがある事件がきっかけでヴァグナーは死亡、副官と何名かの幹部を失い2098年には元GSG9隊員がブラウネーベルの隊長を務めている。対テロリスト戦部隊と銘打っているが他国の特殊作戦部隊にも劣らない戦力を持つ。

フォルゴーレ旅団
第二次世界大戦最強の歩兵旅団とも言われた部隊を母体とする、ヘタレ揃いのイタリア軍とは一線を隔てる空挺旅団。7個連隊によって編成されるEC屈指の空挺旅団であり第二次世界大戦のフォルゴーレ旅団を髣髴とさせる精強さを誇る。

グリムニル
第二次ハフマン紛争後に設立された研究機関であり傭兵部隊でありテロ組織。OCUでは傭兵部隊が編成不可能になったためグリムニルを利用し特殊工作などを行わせ、自国への攻撃を控える代わりに資金や場所などを提供すると言う密約を交わしている。もっともECやUSN、ザーフトラなどにも多数の協力者が紛れ込んでいる。政治家や高官にも信望者はいるが、情報運用、統制や証拠隠滅に使う程度であり表立った行動はほとんどないし、軍に出撃命令などを与える事も出来ない。OCU軍もそこそこの規模を持ったPMC程度にしか見ていない様子。ただし大規模な計画を実行できるだけの実力と資本は持ち合わせている。

ノートゥング
第二次ハフマン紛争直前に設立された機関。何名かの有志が共同体の枠を超えて結集しており対グリムニルという目的で一致して行動している。各国軍や自前の勢力などを使いグリムニルの拠点を攻撃している。政府高官などには極秘事項のため法的な問題で行動が制約される事もある。そのためあくまでもメンバーの権力の範疇でしか活動が出来ない。

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